2017年5月6日土曜日

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2017 ③

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2017』3日目の最終日、有料公演は3つ聴きに行きました。

■公演番号:364 
G409(ヌレエフ
15:15~16:00
梁美沙(ヴァイオリン)
広瀬悦子(ピアノ)
シューベルトヴァイオリンとピアノのためのソナチネ第3番 ト短調 D.408
モーツァルトヴァイオリンソナタ第21番 ホ短調 K.304
ストラヴィンスキーイタリア組曲(バレエ「プルチネルラ」から)

初日の無伴奏(ソロ)、2日目の弦楽アンサンブル、3日目はピアノとデュオ、と3形態の梁美沙さんの演奏を聴きました。シューベルトとモーツァルトは短調の楽曲でしたが、上へ上へとどんどん伸びていくようなヴァイオリンの音色、それにつれて爪先立ちになって演奏する姿を記憶に刻みました。スラヴィンスキーの終盤でアンサンブルが少々乱れたのは3日間で6公演と大活躍の疲れもあったのでしょう。

■公演番号:345 
ホールC(バランシン) 19:00~19:45
パスカル・ロフェ指揮
フランス国立ロワール管弦楽団
ラヴェル古風なメヌエット
ストラヴィンスキー:バレエ「春の祭典」

今回唯一のフルオーケストラプログラムは、典雅な中世の舞曲と見せかけて実はレプリカントなラヴェル(上述のストラヴィンスキーのイタリア組曲と似た位置付け)とアコースティック楽器によるノイズ/インダストリアルの元祖「春の祭典」という攻めのセットリスト。フランス人の指揮でフランスのオケが演奏すると、ロシアのルサンチマンともドイツのコンストラクションとも違う、八方破れな狂気が炙り出されます。

■公演番号:367 
G409(ヌレエフ)
20:45~21:30
ドミトリ・マフチン(ヴァイオリン)
ミゲル・ダ・シルバ(ヴィオラ)
モーツァルト:ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏 ト長調 K.423
ヘンデルハルヴォルセン編):パッサカリア

LFJ2017の最終プログラムはヴァイオリンとヴィオラという最小単位弦楽アンサンブルでした。ロシア人とスペイン人のおっさんふたり(でもおそらく年下)。共通点は眼鏡で小太り。わずかにピッチが甘いところがあったものの、それを帳消しにするハイテンションで楽しい演奏でした。もはやこのプログラムのどこがダンスなのかはアレですが(笑)。

昨日は市民階級の台頭により、宮廷舞踏会が演奏(観賞)会に、つまりお金を払えば身分に関係なく音楽が楽しめるようになったかわりに、ダンスミュージックの機能が失われたというところまででしたが、宮廷舞踏が一方ではバレエという形式に洗練され専門職化する過程を今日は辿りました。ダンスは踊るものから観賞するものに。ここにもうひとつのパラダイム転換があった。

では一般市民からダンスの習慣が完全に失われたのかというと、そういうことではない。ホールEの無料プログラムで途中から観たテリー・ライリーの「in C」はミニマルミュージックの古典であり記念碑的作品です。地下の円形ステージを周回しながら踊る老若男女の姿は全く洗練されておらず東洋人らしい不器用なものでしたが、この不器用で好き勝手な身体表現の衝動こそダンスの本質ではないか、と思いました。


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