2017年5月5日金曜日

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2017 ②

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2017』at 東京国際フォーラム。2日目も晴天です。3公演聴きに行きました。

■公演番号:241 
ホールC(バランシン
9:45~10:30
上野星矢(フルート)
ロベルト・フォレス・ヴェセス指揮
オーベルニュ室内管弦楽団
J.S.バッハ管弦楽組曲第2番 ロ短調 BWV1067
ヘンデル:「アルチーナ」から
テレマン組曲ト短調「ドン・キホーテのブルレスカ」

ドイツ・バロック3大巨匠を朝一で聴く。平成生まれのソリスト上野星矢さんが超絶技巧なのに柔らかい音色で素晴らしかったです。上野さんが吹き振りしたバッハはオケも優しい演奏。指揮者が代ると同じオケが明晰で垂直的な響きを帯びるのが面白い。超弱音が特に美しく、ヘンデルは華やかに、テレマンは軽快で愉快に、メリハリをつけた演奏でした。

■公演番号:225
ホールB7(パヴロワ) 17:15~18:00
ロベルト・フォレス・ヴェセス指揮
オーベルニュ室内管弦楽団
ボッケリーニマドリードの通りの夜の音楽 op.30-6(G.324)
テレマン:組曲ト短調「ドン・キホーテのブルレスカ」
レスピーギリュートのための古風な舞曲とアリア 第3組曲

朝と同じオケで別の会場。今度はスペインがテーマ(作曲家は独伊)です。ボッケリーニは自身がチェリストだっただけにチェロの聴かせどころを知っている。レスピーギの流麗な小曲ではヴィオラにスポットが当たります。バレンシア出身のヴェセス氏は指揮棒を持たず、指先の繊細な動きで音楽をコントロールし、舞曲のリズムを明確に描き分けます。

■公演番号:227
ホールB7(パヴロワ) 20:45~21:30
ルイス・フェルナンド・ペレス(ピアノ)
アルデオ弦楽四重奏団
ドヴォルザーク「糸杉」B.152から 第11番第12番
ドヴォルザーク:ピアノ五重奏曲 イ長調 op.81

ここで200年が経過しまして、19世紀末最大のメロディメーカーの登場。第1ヴァイオリン梁美沙さんの音色の輝きと躍動感が突出しています。実際演奏時間の半分以上は腰が椅子から浮いているし、三割は片足の靴底が舞台に着いていない(笑)。2曲目からペレス氏のコロコロしたピアノの音色が加わり、更に音楽が踊り出しました。

バロックの楽団では各楽器のリーダーが掛け合いをするパートがあり、それを切り出したものがハイドン以降弦楽四重奏曲に発展しました。

ダンスがテーマの今年のLFJですが、バロック時代はヘンデルやテレマンが最新のパーティチューンとして貴族の舞踏会で演奏されていた(そしてJ.S.バッハは「格好良いけどいまいち踊れない」とdisられていたんじゃないかと思う)。ハイドンやモーツァルトあたりが端境期で、フランス革命を経て一般市民が料金を支払って演奏会を聴きに行くようになり、ロマン派、印象派と進む中で、舞曲のリズムは形式化していった。

貴族階級がダンスナンバーとしての機能性を重視し、市民階級は音楽の感傷的側面や知的興奮に傾注した。いまの感覚からすると逆のような気がするのが興味深く、一考の価値があると思います。

 

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