2017年4月15日土曜日

森のテラスライブ ~不思議の森へようこそ~

気温が上がり、風がすこし湿気を帯びて、春ですね。京王線に乗って仙川へ、商店街から住宅街を抜け、『森のテラスライブ ~不思議の森へようこそ~』にお邪魔しました。

武蔵野台地のきわ、断層崖の高低差を活かして建てられた一軒家。造園会社の事務所兼自宅の一室と広いウッドデッキを解放した森のテラス。鳥の声とすこし強めの風にさわさわと葉擦れの音が聞こえます。

最高の環境の中、アンプラグドライブは、主催者まりさんによる絵本『もりのおふろ』の朗読から始まりました。去年5月にここで同じ二人の音楽を聴いたときは新緑でしたが、今日は葉桜を背に。床まで届く大きな窓から明るい光が入り、逆光で表情はよく見えませんが、そのぶん音楽のコアが直接届きます。

ある種のレボリューションアンセムとして聴いていた中田真由美さんの「希望のカケラたち」は、窓から吹く風に花びらが足元まで運ばれ、隣室のキッチンにはジャガイモを剥く父親、オン眉の幼い姉と、母親に抱かれる生まれたばかりの妹、そんな家族の実景を脇に置くと、シンプルに平和を祈る歌なのだと思え、MVの演出意図が理解できました。

普段はループマシンやエフェクトを用いたファンタジックなサウンドスケープが魅力のオツベルくんは、生音生声の演奏も鮮やかで、音楽の本質的な豊かさを表現できるミュージシャンだということがよくわかります。演奏中に空がだんだん暗くなり、俄か雨が降ってきました。テラスに上がるときに脱いだ靴をみんなで玄関に並べ直したのも楽しかった。出演者とスタッフ、観客が協力してより良い時間を作ろうとしている。

中田さんが描いた絵本『ゆめくいバクとにじいろキャンディ』の朗読と、その物語にオツベルくんが書いた新曲のデュエットも素敵でした。中田さんが自作曲以外を歌うのを初めて聴いたような気がします。澄んだ声にフレッシュなたどたどしさがあって美しかったです。カバー曲なんかももっと聴いてみたいな。

終演の頃にはまたすっかり晴れ上がった空。慌ただしかったこのひと月の雑事を忘れて、のんびりした時間を過ごすことができました。



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