2015年7月18日土曜日

梅雨の梅干し

ザ・ラスト・デイ・オブ・レイニー・デイズ。下北沢leteで開催されたみぇれみぇれワンマンライブ『梅雨の梅干し』に行きました。

5月のPoemusicaではソロの弾き語りでしたが、今回はコントラバスひろせたつやさんとデュオで。「水槽の中の僕」から始まって、3枚のCD『茶の間ろけっと』『みぇれみぇれ/安生正人』『ひしゃげた音楽会』から、そして新曲も交え、アンコールの「空飛ぶベッド」まで全18曲。2時間があっという間でした。

「月から君に手を振る」「君の背中の羽も嫌いじゃない/長い長いはしごを伸ばせばそこに届くかな」(長い長いはしご)、「時間と ロールケーキ は/よく似ていると 思うん だ」(猫の知らない朝)、「月の上で待ち伏せて/君はもうすぐきちゃうんだ」(待ち伏せ)、「ピストルを鳴らす朝 武器を捨ててこの星を出た 服に花を忍ばせて」()。

彼は自分の作品を「おはなし」と呼びます。表現をする、作品を創るときに人が自我から逃れることはとても困難ですが、視座を思い切り高く置くことによって、あるいは微生物や素粒子の世界に入って行くことによって、反転した普遍性を得る。というのがファンタジーの持つ効果であるとしたら、生まれ持った優しい声質に、適度にねじれた甘い旋律、意外性のある和声、ループマシンの逆回転音、トイピアノ、カズー、おもちゃのラッパ、KAOSSILATOR などを総動員して、それを体現しようとしているように見える。

その浮遊感をさらに押し上げたり、時には地上にどっしり繫ぎとめたりするのが、ひろせたつやさんのコントラバスです。今回の「梅雨の梅干し」がみぇれみぇれとしての事実上のラストライブとのことですが、名前を変えて今後もふたり(またはソロ)で活動していくそうです。

最近すこしご無沙汰していましたが、2011~2012年頃よく通ったleteはやっぱり良い箱。木や枝を活かした空間は天候や湿度によって微妙に響きが変わります。坂道を通り過ぎるノイズも混じる。決して抜けの良い箱ではないのですが、すこしくぐもった響きを持つ彼らの音楽にぴったり合っていました。

 

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