2014年10月11日土曜日

ジャージー・ボーイズ

秋晴れ。ユナイテッドシネマ豊洲で『ジャージー・ボーイズ』を観賞しました。1960年代の人気バンド The Four Seasonsのメンバーが実名で登場するブロードウェイ・ミュージカルをクリント・イーストウッドが映画化。実にクオリティの高いエンターテインメントに仕上がっています。

「この町から出て行く方法は3つだ。軍隊に入って殺されるか、マフィアになって殺されるか、有名になるか。俺らはあとの2つをやっている」。

米国ニュージャージー州の貧しいイタリア移民街。盗品売買で生計を立てながら、夜はクラブで仲間のニック(マイケル・ロメンダ)と演奏するトミー(ビンセント・ピアッツァ)が見出した奇跡的な美声と歌唱力を持つ16歳のフランキー・カステルッチオ(ジョン・ロイド・ヤング)は後のフランキー・ヴァリ。そこにインテリジェンス溢れるピアニストでソングライターのボブ・ゴーディオ(エリック・バーゲン)が加わり、ゲイのプロデューサー兼作詞家ボブ・クルー(マイク・ドイル)と組むことで、バンドはスターダムを駆け上がる。

1951年の出会いから1990年のロックの殿堂入りまで約40年の物語ですが、細部が丁寧に描かれており性急な印象はありません。だらしなくて喧嘩っ早いギタリスト、天才肌のボーカリスト、知的でバランス感覚に優れたピアニスト、どんなトラブルも右から左に受け流すベーシストというバンドマンあるあるも、ひとりひとりのキャラが立ち過ぎるぐらい立っていてステレオタイプに陥っていない。

メンバーのモノローグがいちいちカメラ目線で(つまり映画館の客席に向かって)話しかけてくるのも面白い。映画に参加しているような錯覚。

作曲担当のボブ・ゴーディオ(The Four Seasons加入前に書いた"Short Shorts"は、タモリ倶楽部のオープニングテーマ!)を演じたエリック・バーゲンは商業映画初出演とは思えない落ち着きと瑞々しさを兼ねて備えています。

君の瞳に恋してる(Can't Take My Eyes Off You)」はフランキー・ヴァリのソロシングルですが、ボブ・ゴーディオとボブ・クルーが、娘をドラッグ禍で失ったフランキーを慰めるために書いた歌。僕ら80'sディスコ世代にはBoys Town Gangカバーバージョンのほうが馴染みがあります。あの狂騒的な中にも底知れない悲しみを湛えた音楽にはそんな誕生の背景があったんですね。



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