2014年6月19日木曜日

Poemusica Vol.30

夏至の2日前。日照時間の長いこの季節の東京で、リハーサルの途中からゆっくりと陽が傾き、日没と開演がほぼ同じ時間です。下北沢Workshop Lounge SEED SHIPで、Poemusica Vol.30が開催されました。

水戸から長距離バスで来た芦田ちえみさん(画像)。空間処理を意識したコンテンポラリーな音像。あえてまばらに配置されたウクレレの分散和音が心地良い。「どうしてだろう、ここに来ると話したいことが話せない」と笑う。周囲数百メートルの世界への違和感の表明をモチベーションの原点にしながら、一周半廻って柔らかく響く歌声。人の声が息で出来ていて、肺から咽喉を通って発せられるという当たり前のことをもう一度思い出させてくれます。

齊藤さっこさんの描く世界はロマンチックでドラマチック。古き良きハリウッド映画の主題歌のような安定感と絢爛さのある懐の深い音楽です。音圧の高いピアノ、全帯域で澄み渡った歌声には、過ぎた恋や愛犬のことを歌っていても、恋の始まりのそのまた予感みたいなときめきがあって、聴いていてそわそわしてしまいます。潔く刈られたスキンヘッドの下に鎖骨やうなじがよく見えて、女の人の首って美しいものだなあ、と思いながら聴いていました。

僕にとって今回一番のサプライズははらかなこさんのピアノでした。2012年のクリスマスにPoemusica Vol.12 ~音の葉・言の葉・柊の葉~で共演したときは、溌剌として楽しくもどこかとっ散らかった演奏に好感を持ちましたが、1年半ぶりに会い容姿が美しく洗練されていたのにもまして、演奏が格段に上達し、持ち前の躍動感に加えて緻密さや一音一音の粒立ちの美しさが加わり、その表現力に驚きました。伸び盛りの姿が眩しかったです。

記念すべき30回目のPoemusicaに僕が選んだのは、夏至の詩「ガーデニア Co.」、世界の人口の12分の1存在する6月生れの人たち(僕もそのひとりです)に「バースデーソング」、そして「」の3篇です。丁寧に、抑制された表現を心がけましたが、伝わりましたでしょうか?

Poemusicaは7月はお休みして、次回vol.31は8月21日(木)。素晴らしいミュージシャンにお声掛けしております。どうぞお楽しみに!

僕の次のライブは7月20日(日)。下北沢の書店フィクショネスが7月22日で閉店するのに伴い、14年半毎月続けてきた詩の教室も終了することになりました。最終回はこれまでの感謝を込めて、教室で紹介した数百篇の詩作品のなかから厳選した20篇をカバー朗読するスペシャル版です。作品の合評はハードルが高いと尻ごみされていた方も、是非この機会に。下北沢のレジェンド(笑)を見届けにきてください! 

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フィクショネス詩の教室 最終回スペシャル

日時:2014年7月20日(日) Start 18:00
会場:書店フィクショネス
    世田谷区北沢2-12-2 翔鶴ビル2F
    小田急線・京王井の頭線下北沢駅南口徒歩2分
    03-5430-6352 
料金:1,620円
出演:カワグチタケシ

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