2012年11月4日日曜日

triola "Resonant ♯10"

1年でいちばん好きな月。図書館と落ち葉とツイードの11月。11月最初の日曜の夜。下北沢leteへ。triola弦楽コンサート"Resonant ♯10"。

2010年秋から2年。この会場で何度もtriolaを聴きましたが、これほどまでに痛みと悲しみに満ち、そしてたとえようもなく美しいtriolaの演奏ははじめて見ました。

東欧やイスラム圏の音楽にも通じる甘美な旋律をハードエッジなリフに乗せて力技で演奏するときに生じる軋み。それがtriolaの個性であり、最大の魅力です。

9月に開催された「トリオラのリリパ」でもオシレーターやサイレンのアナログ・ノイズは封印され、優雅で感傷的な音楽を奏でたふたりでしたが、その祝祭ムードからも離れて。

大きな水玉のチュニックを着て、髪をひとつに束ねヴァイオリンを演奏する波多野敦子さんは、繊細で壊れやすいい少女が、なにか別の知らない地平に立って途方に暮れているように見えました。ばらばらにちぎれそうな心を手島絵里子さんのヴィオラの安定感がかろうじて支えている。

「この曲を演奏するのはたぶんこれが最後」というMCとともに、カバーされたBurt Bacharachの"(They long to be) Close To You"は僕にとっても思い入れのある一曲。2010年末、波多野さんから「カバーを演りたいんだけど、いい曲ありませんか?」と訊かれて挙げたのがこの曲とSkeeter Davisの"The End Of The World"と荒井由実の「海を見ていた午後」の3曲。その後、1st Album "Unstring, string"に収録されました。

 クロース・トゥ・ユー

 なぜ君が近づいてくるといつも
 鳥たちが突然現れるんだろう?
 僕とおなじで みんな
 君のそばにいたいんだね

 なぜ君のとなりを歩くといつも
 星たちが空から降ってくるんだろう?
 僕とおなじで みんな
 君のそばにいたいんだね

 君がうまれるその日に
 天使たちが相談して
 夢を現実にしようって決めた
 それできらめく月の雫を
 君の髪に
 星明かりを君の瞳に

 街中の女の子が
 君を追いかけるのは
 僕とおなじで みんな
 君のそばにいたいから

 僕とおなじで みんな
 君のそばにいたいんだ

 詞: Hal David/訳: カワグチタケシ



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