2012年8月16日木曜日

Poemusica Vol.8

東京は立秋を過ぎても残暑の日々が続きます。8月第3木曜日、下北沢Workshop Lounge SEED SHIPで"Poemusica Vol.8"が開催されました。サブタイトルに「闇鍋ピアノ」と冠して、まったくタイプの異なる3人の歌姫を迎え真夏の夜をにぎやかに。

河内結衣さんは山口県出身の23歳。小柄でふんわりした雰囲気のアイドル的といってもいいヴィジュアルに反して、明確なタッチのピアノとハードボイルドなボーカルを聴かせます。即興のピアノソロ2曲に、ベースの大石彬さん、カホンの並木さきさんが加わったトリオ編成でボーカル曲みっつ。クラシック、ジャズ、コンテンポラリーと音楽的な引き出しを多く持つ、才能溢れる人。アンサンブルの精度を上げれば、もっとずっとずっと高いところまでいける。そんな可能性を感じさせる演奏でした。

画像は島崎智子さん。孤高の人。やさぐれとせつなさの波状攻撃。前夜、寝違えて曲がらないうなじに銀色に輝くせんねん灸を6個貼り付けてピアノに向かう姿は、メタリックなパーツを搭載したサイボーグのよう。粒立ちの良い軽やかなピアノに乗せて唄う歌詞はディスコミュニケーションをテーマにしながら、ヒューマンでコミカルでアナーキー。大阪弁のMCも面白く、客席の笑いを取っていましたが、僕は彼女の歌に、手の届かないところにあるものに対する切望と希求、そして絶望を感じずにはいられませんでした。

田野崎文さんは前回に引き続きPoemusicaは二度めの登場です。今回はスローナンバー中心にしっとりと聴かせます。すらりとしたスタイルと華やかな笑顔を持つ女の子なのですが、なぜかいつも静寂を纏っているような、独特のオーラを放っています。どんなに強く鍵盤を叩いても、エモーショナルに歌いあげても、その周りにだけいつも静かな風が吹いているみたいに。江の島の海で夕陽を眺めながら作ったという新曲もよかったです。

そしてLittle Woody。新作は彼の所属するバンドliquidの1stアルバムのPV。いつものキュートなだけじゃない、ワイルドでスタイリッシュでタイトな魅力を発見しました。MCは相変わらずのユルさでしたが(笑)、そこも好き。

僕は今回は「夏休み」をテーマに3篇の詩を自作のブレークビーツに乗せて朗読しました。まず「八月の光」。河内結衣さんが寄せては返す波のようにダイナミックなピアノソロを即興で添えてくれました。

そして現在来日中のザ・ビーチボーイズにリスペクトを込めて"God Only Knows"のカワグチタケシ訳。この詩には、島崎智子さんと田野崎文さんがメロディをつけて唄ってくださいました。それぞれ特徴の出た素敵な曲でしたが、それは会場にいたみんなとだけ共有したい秘密です。

最後に「都市計画/楽園」。ちょっと血を吸われたぐらいで、ちょっと痒いぐらいで蚊を殺すべきか、終演後何人かと議論に(笑)。

次回"Poemusica Vol.9"は9月20日(木)に開催。Shuhei Yasudaさん(Dancing Rabbit)、中村ピアノさんbackground of the musicさん、そしてLittle Woodyとカワグチタケシが「お月見」をテーマにお届けします。是非皆様お誘い合わせのうえお越しください!


 

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